「金融モニタリング有識者会議」は、新しいモニタリングの基本的な考え方や手法等について、幅広い議論を行うために発足されました(平成28年8月から計6回にわたり開催)。今回公表された報告書は、今後の検査・監督改革の方向と課題ついての議論を取りまとめたものです。この説明ですと、少々分かりにくいですよね。

小泉総理大臣の時代に、「竹中平蔵」氏が金融担当大臣に就任いたしました。当時の主な問題は、何といっても「不良債権」です。そのため、金融機関の監督官庁である「金融庁」は、金融機関に対して厳しい「検査・監督」をしてきました(厳格な個別資産査定中心の検査)。

ドラマ「半沢直樹」で片岡愛之助さんが演じた金融検査官「黒崎駿一」のような行政担当者が銀行に乗り込んで、「この銀行はちゃんとやっているのかどうか」等について、重箱の隅をつつくような(?)、厳しい検査・指導をしてきたのです。(ドラマなので大袈裟なシーンはあったと思いますが、イメージは掴めると思います。)

しかしながら、不良債権問題が落ち着いた現在においては、これまでの実効性のあったアプローチも、機械的に継続すると逆に副作用を生むおそれがあるのではないか?と考えられるようになったのです。たとえば「銀行融資において事業内容ではなく、担保・保証があるかといった形式を必要以上に重視するようになってしまう」とか、「金融機関の経営全体の中で真に重要なリスクを議論するのではなく、個別の資産査定に集中してしまう」などの副作用です。

今後はさらに、新しい環境や課題に対応し、金融行政の目標を実現できるような新しい検査・監督の方向性を考えなければならない、という認識のもと、有識者からの意見を聞くために平成28年8月に「金融モニタリング有識者会議」が発足したという経緯です。

今後の中小企業融資への影響は?

今回公表された報告書は全16頁であり、主に以下の3点が提言されておりました。

1.金融行政の究極的な目標との整合性を確保すること

2.「形式・過去・部分」から「実質・未来・    全体」へと視点を広げること

3.「最低基準の充足状況の確認」にとどまらず、「ベスト・プラクティスに向けた対話」や、「持続的な健全性を確保するための動的な監督」に検査・監督の重点を拡大すること

これだけではよく分からないと思いますので、経営者に知ってほしい一部の内容についてのみ、簡潔に説明します。

今後、「金融庁」は、「金融機関」に対して、「担保・保証の有無(形式)や借り手の直近のバランスシートに着目(過去)した個別の資産査定に重点を置くのではなく、金融機関が顧客の事業の将来性を評価して融資を行っているか」に着目して監督・モニタリングをしていくことになりそうです。これが「形式」から「実質」、「過去」から「未来」という意味です。今後の方針としては、事業性評価融資の推進ということになるでしょう

 

事業性を評価してもらうには、企業側の積極的な情報公開と金融機関とのコミュニケーションが重要になります。業績が思わしくない企業は当然のことですが、業績のよい企業においても、安定している“今”だからこそ、事業性評価融資への取り組み体制を整えてほしいと思っています。

なお、報告書の詳細についてはこちらまで。

https://goo.gl/6eCfgF (短縮URL使用)